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あなたの知らないおいしい山梨 その② ワイン

甲州というぶどうをご存じですか?
最近はスーパーであまり見かけなくなったこのぶどうは、日本原産の、しかも山梨県勝沼生まれのぶどうと言われています。

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ぶどうと言えば巨峰や種なしデラウェア、最近ではピオーネやロザリオビアンコなどの大粒の甘い品種が主流です。

どこと言って特徴のない地味な姿、上品な甘さはあとを引くけど、巨峰のようにわかりやすい味ではない甲州。
どちらかと言えば「通好み」のぶどうかもしれません。
そのせいか、生食用ぶどうとしては、すっかり影が薄くなってしまいました。

甲州は、江戸時代にはすでに勝沼で栽培されていたと言います。

そもそもぶどうの棚栽培は、甲州の栽培方法がベースにあるそうですから驚きです。
上手に剪定(果樹類の枝を整枝すること)しないと樹が暴れる、実がならないなど、
甲州はまるでじゃじゃ馬娘のようなぶどう。

安定した栽培ができるようになるまでに、ずいぶん時間がかかったようです。

切りすぎると樹が暴れるのは、もともとの樹勢が強く旺盛なため。
雨の多い日本では、棚栽培・長梢剪定という剪定方法で栽培されてきました。
現在では短梢剪定でうまく栽培できないか等の研究もされているようです。

じゃじゃ馬娘をうまく御することができるかどうか、今後の課題でもあります。

さて、このぶどう、昔から醸造用ぶどうとしても親しまれてきました。
「ぶどう酒」という名がぴったりなその味。
山梨県ではよく飲まれていましたが、他地域ではそれほど知られていたわけではありません。

そもそも日本では国産ワインの評価はあまり高くなく、国産ぶどうで仕込んだワインに輸入ワインをミックスし、味を調えて販売しているワイナリーもあるようです。

しかし、しかし。
そんな日本のワインのイメージを払拭したのが、甲州を原料にして作られた「甲州ワイン」でした。

とくに香りもなく甘さもそれほどではない甲州...それがワインになると一転して輝く個性となりました。

さっぱりとした飲み口、そして上品な香り。
控え目ながら自己主張もきちんとする、すっきりとしたワインができあがりました。
まるで、じゃじゃ馬娘が、楚々としたたおやかなお嬢様になったようです。

こってりした肉料理やにおいの強いチーズなどの西洋の料理ではなく、
繊細な味付けが身上の日本のごはんにぴったり合うワイン、それが甲州ワインです。

今ではコンクールで金賞を取るほどのワインに成長し、ますます注目を浴びている甲州ワイン。
今回のフェアでは、地元勝沼のワイナリー4社からそれぞれ自慢のワインを選びました。
ぶどうが栽培される土地によって、また土壌によって、ワインの味が違うのも新鮮な驚きです。

日本のぶどうで醸した日本のワイン、山梨県の郷土料理と合わせて楽しんでください。

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えがおマルシェからお知らせ

11月4日(水)~15日(日)、東京丸の内の新丸ビル7F 蒸し料理のお店「musmus(ムスムス)」にて、「山梨の実り完熟フェア」を開催します。

11月4日 18:30~ 山梨フェアオープニングパーティー 開催!
5000円(食べ放題・飲み放題)
ぜひおいしいものを食べにいらしてくださいね!

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森林ノ牛乳その④ 牛乳の殺菌処理のお話

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急な傾斜でもへっちゃら。草があればもくもくと食べ移動し地面をならすジャージー牛

日本の牛乳は、UHT(Ultra High Tenperature)・超高温殺菌法で処理されているものがほとんどです。
これは80~85℃5~6分の予備加熱後、120~130度で2秒間加熱処理する方法。

高温で加熱するため原乳中の有用な菌も殺してしまい、独特の加熱臭(コゲ臭)が感じられます。
牛乳のコクと勘違いされているこの加熱臭ですが、決してコクではありません。
低温殺菌牛乳を飲むと、そのさっぱりした味わいに驚きます。

では低温殺菌牛乳とは、どんな処理方法なのでしょうか。

63~65度で30分加熱するLTLT(Low Temperature Long Time)・低温長時間殺菌法が、森林ノ牛乳の殺菌方法です。
これはワインの殺菌法としてルイ・パスツールが発見したため、パスチャライズとも呼ばれます。

低温殺菌法は、たんぱく質の変質を防ぎカルシウムの可溶性を保てることから、牛乳から栄養を摂取する優れた方法だと考えられています。

以前は日本のほとんどの牛乳メーカーがこの低温殺菌法で殺菌していました。

超高温殺菌法の牛乳と、低温殺菌牛乳、飲み比べてみると、その味わいの違いがはっきりわかります。
牛乳のコクと思っていたのが、実は加熱臭であること。
低温殺菌牛乳には、いやなくさみがないこと。

さて、牛乳の味を変えるのは殺菌方法だけではありません。

以前はビンの流通が主流だった牛乳は、物流コスト削減のため、昭和40年代に次々に紙パック入りに変わりました。
当然ですが紙パック入り牛乳からは紙のニオイがします。

確かに牛乳は、物流の利便性と低価格で販売できるようになったことで、特別な飲みものではなくなりました。
でも、引き換えに、牛乳の本当のおいしさをどこかにおいてきぼりにしてしまったのです。

さて、森林ノ牛乳は、63度30分の低温長時間殺菌法で殺菌した牛乳を、ビンで販売しています。
そして、牛乳の脂肪を均質化しないノンホモジナイズを選択しているため、牛乳の表面にはうっすらとクリームが浮いています。

本来の牛乳に限りなく近い味、それが森林ノ牛乳です。

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森林ノ牛乳で作ったソフトクリームは、まるで牛乳をふんわりと固めて冷たくしたようなやさしい味。一般で販売されているものとはひと味もふた味も違います。みなさんにぜひ食べてもらいたい味

この牛乳を飲んでみてください。
牛乳とは、こんなにあっさりとしていて、あとくちがいいものなのかと驚きます。
飲み終わったあと、ほんのりとした甘さが残り、牛乳くささはみじんも感じられません。

牛乳が嫌いな人は、本当においしい牛乳を飲んでいないのかもしれない...そんなことを考えさせられる牛乳です。
森林ノ牛乳 グリーンラベル...一度飲む価値ありの牛乳です。

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森林ノ牛乳 その①酪農の基礎知識

ひろ~い牧場でゆったりと草をはむ牛たち。
わたしたちが牛乳を思い浮かべるとき、こんなイメージが頭に浮かびます。

しかし実際は、そうではない牧場が多いことをご存じですか。

牛たちは牛舎で日々の大半を暮らし、ときおり運動場でお散歩します。
草や枯れ草が主食の牛に、海外から輸入したトウモロコシなどの穀物飼料を与え、
牛乳の生産量を上げている...これが今の日本の酪農の多くの現状です。

なぜ草を食べる牛に穀物を与えるのでしょう。

草を食べさせる広い土地がないこと
以前は輸入穀物が非常に安価だったこと
穀物飼料を与えると乳量が増えること、
そして、牛乳の価格が安いこと。

エサの価格が安く、一頭あたりの乳量が多ければ、効率よく牛乳が生産できます。
効率を上げることで、安く牛乳を生産することができます。

現在1リットルの牛乳の販売価格は250円~300円程度。
どうかすると水より安いときもあります。

でも。

よく考えてみてください。
牛乳は子牛を育てるためのもの。
言ってみれば「命のもと」。
それが水より安いなんて、おかしいと思いませんか。

山がちで平地が少ない日本。
そこで酪農を営むには、頭数を少なく、効率を上げることが必要でした。
本来は草を主食とする牛に、穀物飼料を食べさせることも技術として必要でした。

でもそれでいいのかな?

そんな疑問をもった人たちがいました。

広大な土地がないなら、山の中で。
山でなくても森の中で。
牛たちは草を食べ、あちこちを歩き回ってのんびり過ごせる。
牛が下草を食べることで、山が、森が、生き返る。

そんな酪農が日本型の酪農なんじゃないか。

この酪農方法は「山地酪農」~やまちらくのう~と呼ばれます。
この山地酪農をベースに生まれたのが「森林酪農」です。

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次回に続きます

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はじめまして えがおマルシェです

はじめまして。

えがおつなげての手島奈緒と申します。
今週から、毎週一回、「えがおマルシェ」で食べものまわりのものがたりを紹介していきます。

このブログをスタートさせた理由を、少しだけお話したいと思います。

わたしたちの身の回りにあふれている「モノ」。
見過ごしがちですが、それぞれ「ものがたり」を持っています。

今まで何気なく食べていたもの、ありふれた風景のように思っていたもの...。
忙しい日常生活のなかで、それぞれのものがたりなど知る暇もなく、
モノは目の前を流れていきます。

たとえば、ここにひとつの野菜があります。

何も知らなければ、ただの野菜。
でも、作る人の顔、その畑、思い...その野菜にまつわるものがたりを知れば
野菜を手にとったとき、畑の土の香りや草いきれ、
そんなことを感じることができるかもしれない。

そのとき「ただの野菜」は「たったひとつの大切な野菜」に変わります。

日本の農業や農村に元気がなくなって久しい昨今、
農村にあまたいた語り手は、今や多くを語ることをやめてしまいました。

そんななか、私たちの暮らしや環境、
食べものの大切さなどを、もう一度考えるために
作り手と食べ手、農村と都市をつなぐ「ものがたり」を語りたいと思います。

私たちの命は食べもので作られている...
私たちの生活は、いろいろな人やモノに支えられている...

そんなシンプルなことを、もう一度感じられるような
イキイキとしたものがたりを紹介していきたいと思っています。

みんなのえがおがつながる、そんなことを夢見て。

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