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ニッポンのお米について考える③

田起こし、田植え、収穫...稲作農家にはそれぞれの作業のための機械があります。

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ひろ~い平地で稲作を営む。このような大規模化で海外の米との価格競争を可能にするとかいう妄想があるようですが...無理じゃないかな~

これらの機械は1000万円くらいするものもあるため、借金して買う農家がほとんど。
大規模・機械化は効率もいいけど、大変な経費もかかるということですね。

さて、2007年の12月、米の価格が急激に下がったと「米問題」がメディアで取り上げられたこと、覚えていますか。

それまで一俵(60kg)15,000円程度だったものが、10,000円~12,000円、低いとこでは7,000円という価格になり、農家に激震が走りました。

この価格は「仮渡金」と呼ばれ、米の収穫が終わった11月~12月にかけて、JAに出荷している米農家に支払われるものです。
(直接消費者や卸業者に販売している場合は仮渡金は存在しませんが、米価を決める参考になっているようです)

その年の作況や前年の売上などを加味して決定されているため、その時にならないと、一俵いくらになるのかがわからない、それが仮渡金。

つまり米農家は、自分の米がいくらで売れるかわからない中で、一年間米づくりをしているということですね。

農家には仮渡金のほかに、翌年、前年の米が売り切れたあたりで最終価格の調整が行われ、追加分が支払われます。
最終価格は16,000円程度になることもあったり、そんなに伸びないこともあったり。

米余りや政府の調整米投入などでも価格が変わりますから、これも予想はつきません。
今年の最終収入額がわからないなかで営農を営む...毎月決まった額がもらえるサラリーマンから考えると想像もつきませんが、それが現状なのです。

さて、一年分の支払いを年末に控え、仮渡金が思ったよりも少なくて大騒ぎになったのが2007年の秋のことでした。

前年度の仮渡金価格から今年の経費を見積もった農家からしてみると、大変なことだったでしょう。

農家の支払いは基本的に年末ですから、この支払いをあてにして機械を買ったり、大きな借金をした人もいたでしょう。
足りなくなった人が何人もいたに違いありません。
(それらはあまりメディアでは伝えられず、米価の下落のみが話題になっていましたけど)

それ以来、米の価格は下がることはあっても上がることはなく、今年もまた安くなっています。

現在では安いところでは10,000円~12,000円あたり。
魚沼産コシヒカリなどのブランド産地ではもっといい価格で取引されますが、そうではない産地の方が多いのですから、米農家はますます大変になっているということでしょう。

平地で大規模な機械化が可能な地域、一軒あたりの面積が10ヘクタール以上になるような地域では、米の価格は一俵12,000円でもなんとか採算が合うようですが、えがおつなげての拠点でもある増富地域のような中山間地では、少なくとも18,000円以上で売れないと採算がとれません。

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景観の美しさで有名な石川県能登半島の千枚田。付加価値があるからこそ継続されているけれど、それがなければ耕作放棄地になったはず。本来「棚田」は「どんな土地でもいいから米を作りたい」という先祖の執念のたまものなんですよねえ...。

中山間地の田んぼが放棄されるのには、また米農家の8割程度が兼業農家なのには、こういう理由があるのです。

日本人の主食である米。
日々のごはんをあと一口余分に食べたら...。
お昼ごはんにスパゲッティを食べないで、おにぎりを持って行ったら...。

日本に住まう人々がもう少し米を食べることが必要だと思いませんか。

なぜなら、田んぼには食料を生産すること以外にも、大切な役割があるからです。

次回につづく

投稿者:えがおスタッフ | PermaLink | コメント(2) | トラックバック(0)
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コメント(2)

段々畑が多い地域だと効率良く収穫ができないのが現状です。例えば、私の地域には殆どが兼業農家で跡継ぎは農業をしたがらないので、地域の田んぼをひとつに纏めて業者にレンタルするということも考えられます。ただし、まずは畦を削ったりと効率的に機械が収穫できるようにしないとだめで、その費用が結構かかると思うのが問題。景色は綺麗なのだけれど実は穫り入れが大変なのです。