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ニッポンのおコメについて考える 最終回

12月8日、北杜市と企業のマッチングツアーが開催されました。
(北杜市企業のはたけ倶楽部)
その際に見た荒れ果てた棚田の風景が忘れられません。

山と山の間、小さな沢が流れている横に、先人が苦労して作ったであろう棚田はありました。

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急な斜面を段々にして作られた田んぼ。荒れ果てるままにはせず、きちんと耕運されていました。
本当に山と山の間です。

放置されたままだったり、作物はないけど耕運だけしてあったり。
自分はもう栽培はできないけど、荒れ果てたままにしておくには農民としての誇りが許さないのかな。
そんなことを考えました。

棚田の再生という話題が出ると、農民のなかには
「もともと山だったところに無理して田んぼを作ったのだから、山に戻していいんじゃないか。
それよりも平地の耕作放棄地のことを考えるべき」という人がいます。

機械が入らない小さなたんぼ。
そこで大変な思いをして米を作っても、採算が合わずかえって持ち出し分が多くなる。
これでは続けられません。

子どもたちに同じ苦労をさせたくないと親が思っても仕方がない気がします。

日本の米価が劇的に上昇する見込みは、今のところないようです。
(今後ひょっとして海外からの食べものの輸入がなくなれば、可能性はあるかもしれませんが)
そんななか、もっと条件のいい耕作放棄地があるのに、無理に棚田を再生しなくても...と言う人がいるのも、もっともです。

さてしかし、その土地にこもった思いのことを考えると、そのようにバッサリと割り切るのは難しい。
では、棚田を再生し、残していくにはどうしたらいいか。

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放置され、ススキが生えて荒れ果てている同じ谷の棚田。
このまま放っておくと樹が生えてきます。切ないですね

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おそらくこの田んぼの持ち主が、石を積み上げて作った農地です。この石の一つひとつにこもった思いを考えてしまいます。

選択肢のひとつに、経営という枠組みを外してしまうというやり方があります。
生産する米を一般流通に乗せるから立ち行かない。
ならば、そうではないやり方を考えればいいのです。

景観、水資源、生物多様性...さまざまな役割がたんぼにはあります。
とくに、田毎の月など景観保全という観点では、棚田は先人が残した財産ともいえるもの。

オーナー制にして、収穫されたお米を買い取ってもらう。
また企業のCSRとして棚田を借り、景観や水資源を守っていく。
そんな可能性が広がります。

実際にそれらの方法で棚田を再生しているNPO法人なども存在します。

そんななか、えがおつなげてでは昨年、三菱地所さんとの連携で北杜市の3枚の棚田を再生しました。
面積からみれば小さなものでしたが、荒れるがままに放置されていた棚田が再生したことは事実。
そして、本当に大きな一歩でもありました。

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やはり農地はきちんと稼働している姿が一番美しいもの。思わず足を止めてみてしまう、そんな風景も再生されました。

何よりも、復元された棚田を見るたび地域の人たちが元気になります。
農民にとっては荒れた土地を見るのは切ないもの。
自分の田んぼが生き返った...そして、そこで米が生産されている。
どれほどの喜びでしょう。

そしてこの前例が次につながる...そんな広がりも見えてきます。

えがおつなげてでは、企業や大学、その他の連携によって、
これらの資源を守っていきたいと思っています。

手島奈緒

投稿者:えがおスタッフ | PermaLink | コメント(0) | トラックバック(0)
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