ニッポンのお米について考える①
2009年11月24日
現在、日本人が一カ月にどれぐらいお米を食べているかご存じですか?
平成21年度の調査はされていないので不明ですが、調べたところ、平成20年度で約5kgという数字が出てきました。
平成20年度は、だいたい毎月4.5kg~5kgの間を推移しています。
一カ月5kgのお米と言えば、一日約170g。一合にも満たないということになります。
一合と言えばちっちゃなお茶碗に軽く3杯。
みんな、他に何を食べてるのかな?
日本人の食生活は、この30年ほどで大きく様変わりしました。
世界各地から輸入される食材をふんだんに使い、世界各地の料理を楽しむことができます。
東京に暮らしていると、フレンチ・イタリアン・中華料理はもう当たり前。
タイ・ベトナム・インドネシア・ロシア・トルコ料理...なんでも食べられます。
ごはんとおかずという日本のごはんの基本は、あってなきがごとく。
中にはおかずは食べるけど、ごはんを抜くという人もいるようです。
現在の日本には、無理してごはんを食べずとも、ものすごく食べものがあるということなのですね。
さて、しかし。
昭和30年代前半まで、食べものはそんなに豊かにはありませんでした。
小さな畑で少量の野菜を作り、中山間地で狭い面積の田んぼを耕していたその時代。
お金を払ってまで化学肥料を買う人はあまりいなくて、肥料と言えば堆肥や家畜糞などの有機質肥料が基本。
日常的に肉がおかずになることなどはまれで、卵だってそれなりの値段がしたのでした。
両親やおじいちゃん、おばあちゃんに「子供のころ、おなかいっぱい白米を食べるのが夢だった」と聞いたことがある人はいませんか。
たった2世代ほど前まで、誰もがおなかいっぱい白米を食べられる時代ではなかったということです。
さて、そんな昭和36年(1961年)、農業基本法が施行されました。
それまでの少数の家畜と小面積の田んぼと畑で農業経営を営む「有畜複合農業」から、「選択的拡大・機械化」に。
この政策(大規模化で効率を上げる農業生産)により、食糧は大幅に増産されました。
ここで化学肥料の使用が奨励され、農業にある種の革命が起きました。
「びっくりするぐらい米が採れてすごいと思った」とその時代を覚えている農民は言います。
米でも野菜でも、収量UPのために必要な肥料は窒素分。
有機質肥料から供給される窒素分に対し、化学肥料の威力はものすごいものでした。
誰でもがおなかいっぱい白いごはんが食べられ、卵や牛乳は日常的な食品になりました。
そして、米が余り始めるまでに、それほどの時間はかからなかったのです。
次回に続く