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都市と農村をつなぐツアー

1月15日(金)から1月21日(木)の5日間、
「やまなし企業ファームリーグ」ビジネスモデル発掘バスツアーが開催されました。

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富士山が目の前の遊休農地(1月18日・FUJIYAMAとま~れ)

詳細はこちらをご覧ください。
http://yamanashi.farmleague.jp/index.html

山梨企業ファームリーグでは、山梨県を5つの地域に分け、
各地域でチームを結成してそれぞれの地域資源や強みの検討をしてきました。

今回のツアーは、地域毎の特色を、都市の方たちに発掘・実感していただくのが目的。

それぞれ特色のあるツアーとなりました。

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ぜ~んぶ大豆入り!大豆づくしのお昼ごはん。ものすご~~くおいしかった(1月15日・八ヶ岳エコロジア)

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猟期です。シカ肉のローストです。うまいです(1月15日・八ヶ岳エコロジア)

今回のえがおマルシェでは、ほんの少しそのご報告をいたします。

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「午前中にサルがたくさんいたよ~。午前中に来りゃよかったじゃんね~」と地元のオバサマ。日当たりはよく富士山は美しい(1月18日・FUJIYAMAとま~れ)

富士山麓や八ヶ岳、甲府盆地と地域性が豊かな山梨県。

平地から果樹栽培に最適な傾斜地、そして標高1000m以上の高原まで、山梨県にはバリエーション豊かな農地があります。

その中で耕作放棄地になっているのはどんな土地か。

地域ごとに、特色のある(と言うと変かもしれませんが)耕作放棄地がありました。

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日当たりはいいけど、傾斜地で果樹にいいのはわかるけど...ぶどうハウスの耕作放棄状態はまるでジャングル。片付けるだけでも大変(1月19日・ふ~どフィエスタ)

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荒れ放題だった土地を開墾し、堆肥を入れた状態。水はないけど条件的にはいいところ(1月15日・八ヶ岳エコロジア)

そしてどの地域でも、条件の悪い傾斜地などから放棄されていくのは同じです。

水がない=稲作が無理
面積が小さい=機械化が不可能
傾斜地=作業負担が大きい

でもでも、

そんななかで、イキイキと農業を営む人たちがいます。
また、わざわざ都市から移り住み、見知らぬ土地で信頼関係を築きながら、
経営も成り立たせている人がいます。

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東京から二地域居住を経て果物いっぱいのお庭を作った方のおうち。桃やすもも、ハーブなどに囲まれた、秘密の花園のようなお庭でした。う~ん、二地域居住も素晴らしい...(1月19日・ふ~どフィエスタ)

東京に住みながら週末は山梨県に行って農業を行う「二地域居住」という選択肢があることを初めて知りました。

調布ICから1時間~1.5時間で到着できるアクセスの良さは
確かに忙しい都市生活から脱出し、息抜き・リフレッシュするのにもぴったりです。

山々に囲まれた、自然豊かな土地。
ここで何ができるのか。

ご参加いただいた方たちの心のなかに、小さな種がまかれました。

今回のツアーは最初の一歩。
人と人、人と土地の小さなつながりが生まれたところ。

これがもっともっと大きなつながりになるように。
これからの山梨企業ファームリーグにご期待ください。

手島奈緒

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ニッポンのお米について考える④

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秋になるとうるさいほど見かけるトンボ。関東で見かける赤とんぼは「アキアカネ」というそうです。

瑞穂の国・日本。
私たちの国は、豊かな水に恵まれていることが広く知られています。

私の田舎などでは浄水器など必要なく、それはそれはおいしい水道水が味わえます。
水資源が豊富で、しかもおいしい。
それが日本の水の特徴ではないでしょうか。

夏場に水不足などのニュースが報道されることはあっても、概ね日本は水の豊かな国であると言っていいでしょう。

田んぼはこの水資源の保全と重要なかかわりがあるのです。

4月末から9月ごろまで、稲の栽培期間中、田んぼには水が張られます。
あぜはしっかりと水漏れを防ぎ、農民によって水の管理がきちんとなされます。

この間、田んぼは日本全国で何億リットルもの水を貯め、一種のダムのような役割を担っています。

上流に田んぼがある地域ではない地域と比較して、大雨が降った際の河川の増水量が少ないといった研究結果も報告されているようです。

また、田んぼに張られた水は地下に浸透し、その過程で水を浄化する機能も持っています。
小学生が理科の実験で、粘土層・砂の層を通して泥水を浄化するのと同じしくみです。
さらに有害な物質も微生物や稲などが分解・吸収し、地下水へと変わります。

どの地域でも、田んぼは水資源の近くに作られるもの。
田んぼは私たちが利用する水を保全・管理してくれているのです。

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これは増富の耕作放棄地の横を流れる沢の写真です。沢づたいにずっと棚田が並んでいます。雪解け水は冷たいので、一度ため池に入れてから利用していたとか。

この機能のほかに、もうひとつ素晴らしい役割があります。

冬季湛水という言葉をご存じですか?

冬の間は通常田んぼから水を落してしまうのですが、稲刈り後再度水を張り春先までその状態にしておく田んぼのことを「冬季湛水田」と呼びます。
昨今、生物多様性という言葉とともに、すっかり有名になりました。

これは水資源の豊かな土地でしかできないという条件付きの農法ですが、ラムサール条約に認定された宮城県の蕪栗沼などで行われています。

主たる目的は雑草の抑制なのですが、冬の間この田んぼは湿地のような機能を持ち、微生物やイトミミズ、魚類などが生育可能となり、さらにそれを捕食する水鳥が渡来するようにもなります。

白鳥が自分の田んぼに飛んでくる...きっとウキウキする体験でしょうね!

さて、冬季湛水にしなくとも、無農薬栽培の田んぼはさまざまな生物のゆりかごになります。

どこにでも見つけることができるアメンボをはじめ、カブトエビやホウネンエビ、めったに見つからないタガメ。

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初めて見たときには「なんじゃこれ!?」と驚くことうけあいのカブトエビ(カブトガニじゃないよ)。田んぼの底を小さな足でかき回し、雑草の芽が出るのを抑制します。どこからともなく「湧く」虫で、導入しても根付かないらしいのが不思議ですよね。

ちっちゃなイトミミズや、見つけると「うへえ」と思うヒル、夏の終わりを感じさせてくれるホタル。

そして凶悪な顔つきのヤゴ。
このトンボの幼虫は旺盛な食欲で小さな生きものを食べ続け、秋に羽化して今度は鳥のエサになります。

田んぼを中心に、豊かな生きものの世界が広がり循環しています。

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ちっちゃい体のわりに虫を大量に食べてくれるアマガエルくん。葉っぱのふりしてお休み中。初夏に大量に田んぼから発生し、あぜ道を横断してあちこちに旅立っていきます。

単に食糧の供給というだけでなく、日本人の身の回りにたくさんいる小さな生きものを生み出している田んぼ。
あなたがごはんをお茶碗何杯か食べるたび、田んぼの生きものが確実に育まれているのです。

手島奈緒

次回につづく

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森林ノ牛乳その④ 牛乳の殺菌処理のお話

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急な傾斜でもへっちゃら。草があればもくもくと食べ移動し地面をならすジャージー牛

日本の牛乳は、UHT(Ultra High Tenperature)・超高温殺菌法で処理されているものがほとんどです。
これは80~85℃5~6分の予備加熱後、120~130度で2秒間加熱処理する方法。

高温で加熱するため原乳中の有用な菌も殺してしまい、独特の加熱臭(コゲ臭)が感じられます。
牛乳のコクと勘違いされているこの加熱臭ですが、決してコクではありません。
低温殺菌牛乳を飲むと、そのさっぱりした味わいに驚きます。

では低温殺菌牛乳とは、どんな処理方法なのでしょうか。

63~65度で30分加熱するLTLT(Low Temperature Long Time)・低温長時間殺菌法が、森林ノ牛乳の殺菌方法です。
これはワインの殺菌法としてルイ・パスツールが発見したため、パスチャライズとも呼ばれます。

低温殺菌法は、たんぱく質の変質を防ぎカルシウムの可溶性を保てることから、牛乳から栄養を摂取する優れた方法だと考えられています。

以前は日本のほとんどの牛乳メーカーがこの低温殺菌法で殺菌していました。

超高温殺菌法の牛乳と、低温殺菌牛乳、飲み比べてみると、その味わいの違いがはっきりわかります。
牛乳のコクと思っていたのが、実は加熱臭であること。
低温殺菌牛乳には、いやなくさみがないこと。

さて、牛乳の味を変えるのは殺菌方法だけではありません。

以前はビンの流通が主流だった牛乳は、物流コスト削減のため、昭和40年代に次々に紙パック入りに変わりました。
当然ですが紙パック入り牛乳からは紙のニオイがします。

確かに牛乳は、物流の利便性と低価格で販売できるようになったことで、特別な飲みものではなくなりました。
でも、引き換えに、牛乳の本当のおいしさをどこかにおいてきぼりにしてしまったのです。

さて、森林ノ牛乳は、63度30分の低温長時間殺菌法で殺菌した牛乳を、ビンで販売しています。
そして、牛乳の脂肪を均質化しないノンホモジナイズを選択しているため、牛乳の表面にはうっすらとクリームが浮いています。

本来の牛乳に限りなく近い味、それが森林ノ牛乳です。

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森林ノ牛乳で作ったソフトクリームは、まるで牛乳をふんわりと固めて冷たくしたようなやさしい味。一般で販売されているものとはひと味もふた味も違います。みなさんにぜひ食べてもらいたい味

この牛乳を飲んでみてください。
牛乳とは、こんなにあっさりとしていて、あとくちがいいものなのかと驚きます。
飲み終わったあと、ほんのりとした甘さが残り、牛乳くささはみじんも感じられません。

牛乳が嫌いな人は、本当においしい牛乳を飲んでいないのかもしれない...そんなことを考えさせられる牛乳です。
森林ノ牛乳 グリーンラベル...一度飲む価値ありの牛乳です。

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森林ノ牛乳 その①酪農の基礎知識

ひろ~い牧場でゆったりと草をはむ牛たち。
わたしたちが牛乳を思い浮かべるとき、こんなイメージが頭に浮かびます。

しかし実際は、そうではない牧場が多いことをご存じですか。

牛たちは牛舎で日々の大半を暮らし、ときおり運動場でお散歩します。
草や枯れ草が主食の牛に、海外から輸入したトウモロコシなどの穀物飼料を与え、
牛乳の生産量を上げている...これが今の日本の酪農の多くの現状です。

なぜ草を食べる牛に穀物を与えるのでしょう。

草を食べさせる広い土地がないこと
以前は輸入穀物が非常に安価だったこと
穀物飼料を与えると乳量が増えること、
そして、牛乳の価格が安いこと。

エサの価格が安く、一頭あたりの乳量が多ければ、効率よく牛乳が生産できます。
効率を上げることで、安く牛乳を生産することができます。

現在1リットルの牛乳の販売価格は250円~300円程度。
どうかすると水より安いときもあります。

でも。

よく考えてみてください。
牛乳は子牛を育てるためのもの。
言ってみれば「命のもと」。
それが水より安いなんて、おかしいと思いませんか。

山がちで平地が少ない日本。
そこで酪農を営むには、頭数を少なく、効率を上げることが必要でした。
本来は草を主食とする牛に、穀物飼料を食べさせることも技術として必要でした。

でもそれでいいのかな?

そんな疑問をもった人たちがいました。

広大な土地がないなら、山の中で。
山でなくても森の中で。
牛たちは草を食べ、あちこちを歩き回ってのんびり過ごせる。
牛が下草を食べることで、山が、森が、生き返る。

そんな酪農が日本型の酪農なんじゃないか。

この酪農方法は「山地酪農」~やまちらくのう~と呼ばれます。
この山地酪農をベースに生まれたのが「森林酪農」です。

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次回に続きます

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