森林ノ牛乳 その①酪農の基礎知識
2009年09月14日ひろ~い牧場でゆったりと草をはむ牛たち。
わたしたちが牛乳を思い浮かべるとき、こんなイメージが頭に浮かびます。
しかし実際は、そうではない牧場が多いことをご存じですか。
牛たちは牛舎で日々の大半を暮らし、ときおり運動場でお散歩します。
草や枯れ草が主食の牛に、海外から輸入したトウモロコシなどの穀物飼料を与え、
牛乳の生産量を上げている...これが今の日本の酪農の多くの現状です。
なぜ草を食べる牛に穀物を与えるのでしょう。
草を食べさせる広い土地がないこと
以前は輸入穀物が非常に安価だったこと
穀物飼料を与えると乳量が増えること、
そして、牛乳の価格が安いこと。
エサの価格が安く、一頭あたりの乳量が多ければ、効率よく牛乳が生産できます。
効率を上げることで、安く牛乳を生産することができます。
現在1リットルの牛乳の販売価格は250円~300円程度。
どうかすると水より安いときもあります。
でも。
よく考えてみてください。
牛乳は子牛を育てるためのもの。
言ってみれば「命のもと」。
それが水より安いなんて、おかしいと思いませんか。
山がちで平地が少ない日本。
そこで酪農を営むには、頭数を少なく、効率を上げることが必要でした。
本来は草を主食とする牛に、穀物飼料を食べさせることも技術として必要でした。
でもそれでいいのかな?
そんな疑問をもった人たちがいました。
広大な土地がないなら、山の中で。
山でなくても森の中で。
牛たちは草を食べ、あちこちを歩き回ってのんびり過ごせる。
牛が下草を食べることで、山が、森が、生き返る。
そんな酪農が日本型の酪農なんじゃないか。
この酪農方法は「山地酪農」~やまちらくのう~と呼ばれます。
この山地酪農をベースに生まれたのが「森林酪農」です。
次回に続きます